パリ大学院生活 at SciencesPo

フランス・パリ政治学院(通称SciencesPo)に在籍する大学院生のブログです!

都市型キャンパスの良さ

こんにちは。ふたたび、ぷらんくとんです。 

前回「Sciences Poのパリキャンパス、設備が貧弱!」とご紹介しましたが、個人的には、それをふまえてもなお、Sciences Po、そしてパリを選んでよかったな、と思っています。そこで、今日は、都市型キャンパスだからこそのSciences Po良さを、3つのポイントにわけてご紹介したいと思います!

  

①理想論にとどまらない学びを得ることができる

学びの環境という観点で、大学・大学院のキャンパスは郊外型と都市型にわけられると思います。

 

前者は、広大な敷地の中にすべての設備が揃っていて、場合によってはキャンパス内で暮らしていけるような環境。この利点は、「勉強に専念できる」こと。逆に「外の社会との接点が希薄」ともいえます。

 

後者は、都市の中にキャンパスがあるパターン。土地に限りがあるので、十分なスペースがなかったり、寮がないため学生は家探しに四苦八苦、満員電車で通学なんてことも。ただ、利点は、郊外型キャンパスの逆で、「外の社会との接点が多い」ということです。

 

教室で学ぶことはどうしてもアカデミックだったり、理想論にかたよる傾向があります。 

例えば、典型的な都市型キャンパスであるSciences Poの場合。キャンパスを一歩でると、パリの街には、理想とは全く違う現実社会が広がっています。物乞いの人、シリアからの難民、地区ごとに全く違う住環境。

わたしの通学路には、数百メートルに1人ずつ物乞いの人or家族がいますが、彼ら、彼女らの脇をすり抜けながら通学をしていると、否が応でも学びと現実の違いを実感し、じゃあその上でどうしたらいいのか、とより深く考えざるを得ません。現実の社会が、理想論に走りがちな机上の学びに対するストッパーになっている、と強く感じます。

 

②都市にはすべてが集まる

都市には人やモノ、情報が流れ込んできます。

 

先日のフランス大統領選は、政治の中心としてのパリを最も感じた機会でした。 

マクロンの演説を聞きにいってそのコンサートかのような盛り上がりっぷりに度肝を抜かしたり、支持者たちが集まるカフェでディベートをきいて、フランス国民の生の反応を感じたり。逆に街角でマクロンのポスターに落書きがされ、ルペンやメランションのポスターが代わりに貼られているのを目撃したり。

 

もちろん政治に限らず、レストランや音楽や、いま一番勢いのあるものがすぐそこで体験できる、という環境はとても貴重です。

 

また、パリには世界中から食や芸術や哲学を学ぶ人たちも集まってきています。そういった「多種多様」な「挑戦する人」と出会える、ということも都市であるパリの魅力です。

 

③楽しいことがたくさん!!

勉強にも息抜きは必要なもの。そこは、パリ、なんでも揃っています。

 

普通に同級生と飲みに行く以外にも、例えばエッフェル塔を横目にセーヌ川沿いでピクニックをしたり、美術館巡りをしたり(なんとルーブル美術館などは26歳以下の学生は無料です)。わたしは、近所にある小さな映画館に古い映画を観に行っていました。

 

それもこれもパリ、そして都市だからこそ。都市は社会の縮図であり、大きな学びの場です。学校以外の街全体をキャンパスととらえると、貧弱な設備も許せるものです。

 

学校選びの際には、学問そのものにどっぷりつかりたいのか、生活全体での学びも重視するのか、という観点も検討してみることをおすすめします。

 

↓サンジェルマン大通り沿いのキャンパス

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(ぷらんくとん)

Sciences Poのキャンパス

こんにちは。ぷらんくとんです。

これまでの投稿からも薄々感じられると思うのですが、2017年現在、Sciences Po パリキャンパスの設備はとても貧弱です。

というのも、高級ブティックが立ち並ぶサンジェルマンデプレ地区(東京でいうと青山や代官山的な雰囲気でしょうか)にキャンパスが点在しており、いわゆるアメリカやイギリスの大学から想像されるような、大きな敷地に青々とした芝生、広い競技場に学生寮、のようなイメージとは無縁。。。

 

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 http://www.sciencespo.fr/welcome/sites/sciencespo.fr.welcome/files/plan_sciences_po.pdf

  

もともとは少数精鋭のエリート育成機関だったためそれで全く問題なかったのですが、近年の改革で、学生数も増え、キャンパスのキャパシティに対して、明らかに学生が多い。

 

学部生を地方のキャンパスに分散させても、パリキャンパスにはまだまだ人が溢れており、近隣の建物にどんどん拡張しつつも間に合わず、特にテスト期間中の自習スペース確保レースには熾烈なものがあります。

 

もちろん都市型キャンパスならではの良さはあるのですが(こちらは次回の投稿で触れたいと思います!)、今日は、わたしたちが日々どのような環境で勉強をしているかを紹介したいと思います。

 

1)メインキャンパス(地図上A)

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道が狭くて引きの写真を撮れないので、全体像が全くお伝えできていませんが、、、メインキャンパスの入り口です。パリ市内の建物らしく、奥行きはあるので、中に入ると中庭もあります。いわゆる講堂型の大教室もあり、Sciences Poの歴史を感じることができる建物です。

 

入口すぐのホール

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ミッテランもシラクもマクロンも、皆ここで勉強していたのだと思うと感慨深いのですが、ただ、歴史的な建造物だということでリノベーションができず(これはパリの多くの建物にも言えますが)、冷房設備がないため、夏場の大講堂での授業では、ゆでだこ状態です。(昨年の入学説明会では、あまりの暑さに途中退出者もちらほら)

 

こちらは道の端から撮った写真です。(道の狭さを感じて頂けるかと。。)右手奥がメインキャンパス、向かいには図書館があります。ちなみに、右手前はPaul Smithのブティックです。

 

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メインキャンパスの中には、教室(講堂・20人~50人収容の教室)の他に、食堂・中庭・図書館(分館)があります。

 

食堂はこんな感じ。小さいですね。

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左側に小さな売店があり、サンドイッチやクロワッサン、コーヒーが購入できます。CROUS(Centre Régional des Œuvres Universitaires et Scolaires)という、いわゆる生協的な学生支援団体によって運営されており、キャンパス内の売店のほかに、パリ市内には、パリの学生ならば誰でも入れる(というよりむしろ誰でも入れる)CROUS運営の食堂が点在しているので、そちらに行くこともあります。

 

わたしは、近くのパリ第5大学の地下にあるCROUS食堂か、歩いて10分程のところにある別のCROUS食堂(下写真)に行ったりしています。これらの食堂はポイント形式(€3.25=約400円=6ポイント)で、前菜(1~2ポイント)、メイン(3ポイント)、ヨーグルトやフルーツ(1ポイント)から自由に選ぶことができ、パンは食べ放題なので、とてもリーズナブルです。味は微妙ですけれども(フランスって美食の都だと思っていたのに、おかしいなって初めは思いました、もう慣れましたが)、お腹はふくれます。

 

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中庭です。みんな太陽が大好きなので、雨の日以外はみんなここに座ってお喋りしたり、お昼寝したり、勉強したりしています。学校のHPではだいぶ広く映っていますが(そして下の写真も人がいないので広く映っていますが)、大きい中庭を想像していると少しがっかりします。

 

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2)図書館 

メインの図書館は4階建て、メインキャンパス内の図書館は6階建てです。とても狭いので、ほとんどの本は書庫に入っており、オンラインで請求をして数時間後に受け取る、ということがほとんどです。また、上でも説明した通り、自習スペースが少ないので、休み時間には、席を探してウロウロしている学生に出会うことができます。その結果、多くの学生は、週の3,4日間に授業をまとめ、他の日は学校に来ず、自宅やカフェなので勉強をしていることが多いです。

(ただ、既に夏休みの今、わたしはがらがらの図書館でこの記事を書いています)

 

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メインの図書館の入口です。奥の落書きがしてあるシャッターがエントランス。(祝日に写真を撮ったので、シャッターがしまっています)手前は本屋さんです。(英語でLibraryは図書館なので、こんがらがりそうですが、フランス語ではLibraireは本屋さん、図書館はBibliothèqueです。)

 

3)その他の建物たち

PSIA(Paris School of International Affairs) のメインキャンパス(地図上H)。向かいはパリ第5大学。

 

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キャリアセンターや小教室のある建物(地図上J)

ここにはマルセルくんという猫が住んでいて、時々一緒に授業を受講しています。ちなみにこちらの真向いはサンローランのオートクチュールの拠点です。

 

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博士課程のメインキャンパス(地図上D)

サンジェルマン大通り沿いにもキャンパスがあります。博士課程のメインキャンパスですが、それ以外の語学の授業も行われています。

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School of Journalism のメインキャンパス(地図上D)

こちらもサンジェルマン大通り沿い。近年取得したばかりの建物ですが、もともとは出版業界組合の建物で、あのオペラ座の設計で有名なシャルル・ガルニエの設計だそう。しゃちさんはこの建物で授業を受けているとのこと、うらやましい。

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と、ここまでつらつらとSciences Poのキャンパスの小ささを前提に紹介してきたのですが、実は、2022年を目標に新しいキャンパスを計画中。これまた近隣の建物をゲットしたのが、ちょうど昨年。完成すれば、14,000㎡の新しいキャンパス、中には500㎡のカフェテリアもできるそうで、Sciences Poの学生ライフは格段に改善するはずです。

 

残念ながら今在学中のわたしたちはその恩恵に預かることはできないのですが、これから出願を考えている方は、このことも念頭に、学校選びをしてもらえたらいいかな、と思います。

 

リンク先にある動画では、新しいキャンパスのイメージ図もみることができるので、参考まで記載しておきます。

http://www.sciencespo.fr/campus2022/un-campus-pour-se-reinventer/

 

(ぷらんくとん)

 

 

Sciences Poへの志望動機書の準備の手順

海外の大学院の入学プロセスの中で、日本の大学院と大きく違うのは志望動機書を書くということではないでしょうか。

日本人にはなかなか経験のないプロセスだと思いますので、今回は実際にSciences Poに通っている我々が志望動機書を準備した手順を紹介したいと思います。

 

※志望動機書の代筆や添削を行ってくれるコンサルタントを使う人もいます。アメリカに出願するには必須と言われていますが、フランスへの出願で使う人は少ないので、今回はコンサルタントなしの手順を紹介します。

 

スケジュールを確認する

何はともあれ、まずはスケジュールを確認しましょう。

 

Sciences Poで合格しやすいと言われている1月の審査会に合わせて仕上げるスケジュールは、

8月 :概要を考える、ひとまず書いてみる

9月〜11月:何度も書き直す

12月 :ネイティブチェックを受ける

1月上旬:提出

という具合でしょうか。

 

最初はイメージがつかないかもしれませんが、9月〜12月の推敲にはかなり時間がかかりますので、特に社会人で仕事をしながらだと、短くても3ヶ月は取っておいた方がいいです。

 

逆に、8月までは、フランス語・英語の点数のスコアメイキングに集中しましょう。

語学力がないと合格できませんし、逆に語学力があれば志望動機書を書くのも楽になります。

 

なお、一般的に、海外の大学は早く出願するほど有利であると言われています。したがって、Sciences Poについても早く出願することをおすすめします。実際、大学における審査は常時行われているわけではなく、私たちが出願した年には1月、2月、6月に行われていたとの情報もあります。

そのため、3月ごろ出願しても結果を受け取るのはかなり遅くなることになり、精神衛生上も良くないし、渡航準備等との関係からもあまり好ましくないでしょう。

 

質問内容、その他の制限を確認する

次に、何を聞かれるのかを確認しましょう。

 

大学、又は年度によって、「志望動機書を提出せよ」と何も指定がない場合から、質問が細かく分かれ、それぞれに文字数制限がある場合など、様々なケースがあります。また、提出方法も印刷して郵送する方法からwebフォームに入力する方法まで様々です。



ちなみに、2016年の英語での入学に必要だった志望動機書の質問文は次のようなものでした。

The motivation letter is an opportunity for you to freely express yourself and to provide any information you consider relevant. You should introduce yourself, provide your reasons for applying to your specific programmes, explain how and why Sciences Po's programmes will help you realize your personal and professional goals, and tell us how you intend to contribute to campus life. Be as specific as you can and do not exceed 1000 words.

 

ポイントを要約すると以下のようになります。

○関係あると考えられる情報は書き込んで良い

○自己紹介、申し込む予定のプログラムを選んだ理由、Sciences Poのプログラムはあなたの個人的・職業上の目標達成にどう役立つのか、大学にどう貢献しようと考えているか

○可能な限り具体的に記載する

○1000ワードを超えてはいけない

※Sciences Poはここ数年、webフォームに入力して提出します

 

これだけで目が回りそうですね(笑)

でも質問内容としては基本的な内容ばかりですし、ここで用意したものは併願先の大学にも使いまわすことができるものばかりですので、気合いを入れて取り掛かりましょう!

 

概要を考える

いきなり文章を書き始めるのは無理なので、まずは日本語で大体の流れと主張したいポイントを整理しましょう。

この時、市販の参考書や語学学校のマニュアルなどで情報収集したり、経験者の文章を参考にしたりすると、自分に合った流れも見つかると思います。

 

また、同時並行で大学の教授や職場の上司に推薦文をお願いすると思いますが、その推薦文に書いてもらう内容との重複はなるべくないように気をつけましょう。

※ただし、あえて両方に盛り込むことで大学側に印象付けることもできるので、上手く使い分けられると吉です。

参考までに、いぐあなは下記のような流れにしました。

 

○将来の究極の夢:欧米の「結論から入る」ためのイントロとして 

○今の職場を選んだ理由となる学生時代の経験:質問文にもある自己紹介を兼ねて

○社会人経験を通じて見えた課題:社会の課題、職場の課題、自分の課題など

○短期的な目標:Sciences Poを修了後数年〜10年程度で実現したいこと、そのためにSciences Poで学ぶことが役立つこと

○長期的な目標:人生を通じて実現したいこと、そのためにSciences Poで学ぶことが役立つこと

○結論:私はとてもモチベーションが高く、目標もはっきりしており、社会人経験を授業で共有して互いに学びを深めることができる、ウンヌン

 

ひとまず書いてみる

何はともあれ、一通り書いてみましょう。

書いているうちに色んな課題が浮かんでくると思いますが、全て脇にメモとして残しながら、まずは全て書き上げることをオススメします。

 

いぐあなの場合は、ある週末に一気に書き上げました。

何度も書き直す

さて、ここからが本番です!

 

書いているうちに、そもそも話の流れを変えたい、具体的なエピソードがないなど、色んな課題が浮かんできたと思うので、一つ一つ対応していきましょう。

 

市販の参考書などを参考に、一つのパラグラフの長さ、単語選びまで含めて何度も何度も書き直します。

かなり根気のいる作業なので、気が滅入らないように息抜きをしつつ仕上げましょう。

 

ネイティブチェックを受ける

自分でも納得がいく内容になったら、ネイティブチェックを受けましょう。

頼む相手にもよりますが、話の流れなどの大局的な視点から、コンマ(,)の打ち方など細かな点まで、徹底的にチェックしてもらえる人に頼めるといいですね。

 

いぐあなの場合は、通っていた英会話スクールの英作文添削サービスを使いました。



だいぶ長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか?

 

Sciences Poの志望動機書は特にひねりのないストレートなものですし時間も十分ありますので、さほど気負わずにコツコツ取り組むことができるかと思います。

ちなみに、留学コンサルタント(や似たようなサービス)を使うと、上に書いたプロセスの一部や全部を手伝ってもらえます。

興味がある方は自分で調べて見てくださいね!

 

 

これがSciences Poの時間割の仕組みです!

こんにちは!

いぐあなです。

大学院で「何を学ぶのか?」についてはみなさんよく考えて調べると思いますが、「どう学ぶのか?」について考えたことはありますか?

 

この「学び方」の中でも、Sciences Poの時間割の仕組みは、日本のものと比べて結構違います。

この違いが、もしかしたらSciences Poでの大学生活を良くも悪くも大きく変えてしまうかもしれません。

 

授業の登録方法からその時に考えるべきことや失敗談など、今回も、Sciences Poに応募する前に知りたかった情報をまとめてみました!

 

1つの学期の流れ

Sciences Poは2学期制で、1つの学期はだいたい16週間です。

12週分の通常授業、1週間の秋休み(or春休み)、1週間の補講期間(スキップされた授業を補うもの)、2週間の期末試験期間です。

 

中間試験がある場合は、12週の通常授業の中で行われます。

 

一年間の流れの概要(Sciences Poのサイトへ。2016年〜2018年)

http://formation.sciences-po.fr/contenu/calendriers-scolarit%C3%A9

 

英語バージョンとビジュアルに分かりやすいバージョン(同上)

http://formation.sciences-po.fr/en/contenu/university-calendar

http://formation.sciences-po.fr/sites/default/files/calendrier_universitaire_en.pdf

 

なお、この16週間の他に、学部やコースによって前後の数週間の独自カリキュラムがくっつくことも結構あるので、詳しくは各学部のサイトを見てくださいね。

 

時間割の枠

次に時間割の枠についてお話ししようと思います。

日本の大学と比べて一番大きな違いは、昼休みがないことです。

 

・・・ん?どういうこと?

 

Sciences Poの時間割は朝の8:00に始まり、2時間の授業時間と15分の休憩時間が繰り返され、夜21:15まで続きます。

 

つまりこういうこと↓

1限目 8:00〜10:00

2限目 10:15〜12:15

3限目 12:30〜14:30

4限目 14:45〜16:45

5限目 17:00〜19:00

6限目 19:15〜21:15

 

確かに昼休みがない・・・

代わりに、15分でご飯をほお張るか、空きコマの時間でご飯を食べることになります。

(中には授業中に食べる学生もいますが、先生たちも事情が分かっているので何も言いません・・・)

 

あと、授業は月曜日から土曜日まで行われることになっていますが、土曜日は基本的には休みです。

 

イレギュラーな授業の例

Sciences Poには、Sciences Poで授業を持っているけど専任ではなく別に本職があるという先生がかなりいます。

(一部の先生は他国からパリに通っている先生も案外多いです。)

その関係で、授業時間にもこんな影響が出ることがあります。

 

 

  • 平日の講義が休講になり、土曜に補講(Sciences Poは何が何でも12コマ授業をします)
  • 2コマ4時間ぶっ続けや金曜6限目+土曜1限目など、週2回に2コマある授業。隔週で開かれたり、6週間で終わったりします。
  • 1つの授業を2人の先生で半分に割り、一方が正規の金曜日、もう一方が火曜日に講義

 

 

コマ数

週に何コマ授業を取る必要があるのかは学部やコースによって違うので一概には言えませんが、一般的には8コマか9コマ取ることになっているようです。

Sciences Poはジェネラリストを育成する大学なので、他の大学に比べて浅く広くたくさん授業を取らせます。

 

ちなみに、この8コマ〜9コマは卒業に必要な授業数ですが、Sciences Poでは正規の授業以外に、次のような授業を追加できます。

 

 

 

授業の登録方法

シラバスの確認

入学したら知らされるカリキュラム一覧のページから、必要単位とそのシラバスを確認します。

例:公共政策大学院のマネジメントコースのカリキュラム

http://www.sciencespo.fr/public/en/maquette/mpp-management-public-affairs-semester-1

この時点で、各授業の曜日と時間、内容を確認して、自分の時間割を作ります。

 

webシステムでの登録

学期開始のだいたい1ヶ月前のある決まった日時から、web上で授業の登録が始まります。(例:1月9日09:00〜)

個人ページにログインしてリストから授業を選び登録していくのですが、人気のある授業は5分で埋まることもあるので、まさに時間との勝負です。

 

時間は全部で3時間ありますが、順調に行けば10分で全ての授業を登録し終わります。

ただし、特別な事情がない限り今後授業の変更はできないので、確定させる前に十分にチェックしましょう。

 

時間割の完成

同じ個人ページで時間割を確認できます。

 

ちなみにいぐあなの2017年春学期(2セメスター目)はこんな時間割でした。

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※学生からも改善の声の上がる登録方法なので、今後変更されるかもしれません。

 

失敗談①:ご飯の時間がない!

2限目と3限目の両方に授業を入れてしまうと、10:15から14:30までご飯を食べられないことになってしまいます。

実際、14:30に授業が終わるとお腹をすかせた同級生によく出合います。

 

失敗談②:月曜日が地獄!

チリ人のある友人は月曜日に6コ、フルで授業を取ってました。

「だって他の日が楽になるからね♫」

・・・でも実際は、朝から晩まで外国語で頭をフル回転させることになるので、彼と同じ授業だった月曜日4限目では、いつも疲れ切った彼を見ていました。

 

失敗談③:シラバスと内容違うじゃん!

アメリカの大学では授業期間の1週目や2週目まで授業を受けてから授業を登録できるようですが、Sciences Poではシラバスだけを見て授業を決めないといけません。

中には、シラバスに書いてないことを1回目の授業で告げられて「イメージと違った」と落胆することも・・・



いかがでしたでしょうか?

 

授業のコマ数などは応募の際には見落としがちですが、時間割の仕組みは学びの内容や深さを判断するめにも意外と重要なので、ぜひ抑えていただきたいと思います。



パリの治安について、留学生として日々感じていること

こんにちは!

いぐあな&しゃちです。

 

フランスに留学していることを日本にいる知り合いに話すと、一番多い反応は「頑張って」や「楽しんで」ではなく「気をつけて」のような気がします。 

確かに「テロ」と呼ばれる事件がここ数年続いていて、日本にいる人から見るとパリは危ない場所と映っているのかもしれませんね。

 

実際、日本人観光客の減り方は、他国より大きいようです。

パリの観光客が激減 日本人観光客は46%減

https://www.wwdjapan.com/322664

(もっとも、現在は相当程度回復しているそうです)

 

では、実際のところパリは危険なのでしょうか?パリはどういう状況にあるのか、パリに住んでいる我々は何を感じているのか、少しお話ししようと思います。

 

生活の中で出会う警備

大学の入り口(学生証のチェック)

Sciences Poの学生が警備の厳重化を一番に感じるのは、授業のために大学の建物に入る時です。

入り口には警備員が1人〜3人立っていて、入ろうとする人の身分証(学生証など)を確認しています。

 

毎日通っているとたまに顔パスで通してくれるようになります(笑)

でも逆にイベントで外部の人が公演に来る時には、学生証だけじゃなく荷物の中身まで確認されます。

ショッピングモール(荷物チェック)

ほとんどのショピングモールに入る時にも警備員がだいたい立ってます。

IDは確認されませんが、一人一人の荷物の中身を確認されるので、入り口にはだいたいいつも列ができています。

 

リュックサックは中身を詳しくチェックしようとしますが、ハンドバッグくらいの大きさの荷物はさっと目を通しただけで終わります。

おそらくですが、ある程度大きさが必要になる爆弾を持っていないかを確認しているんだと思います。

 

街中(警察や軍の警備) 

街中、特に人混みの多いところには、いつも警察か兵隊が警備しています。

銃を持った数人組が、あたりを見渡しながらゆっくり歩いていて、初めて見るとビックリします。

 

その他 

鉄道に乗る際には、自分の荷物に必ず名札をつけるようアナウンスされています。良く知らずに自分の荷物を放置していると不審物扱いされ、大変な騒ぎになることがあるので要注意です。

 

人混みを避ければ、個人的な危険を感じることはない 

パリで見る警備の様子を書いておいてなんなのですが、個人的には治安の心配はあまりしていないというのが現状です。

先日シャンゼリゼで警官が撃たれて亡くなるという痛ましい事件が起きました。日本でどう報道されていたかは詳しくはわかりませんが、パリの人々は翌日何事もなかったかのように日常生活を送っていました。

テロに対する一番の抗議は、日常生活を決して変えないことだと考えているようです。

なので、皆カフェのテラスで食事することは決して止めません。

 

もちろん、球技大会や集会・デモなどの人の集まるところは避けるようにしていますが、それさえ気をつければ、個人的に身の危険を感じることはありません。

フランス人が日常生活を送っている中、過度に恐れて行動を制限していてはせっかくの留学も台無しですよね。

 

大学院を選ぶ時にはキャンパスビジット(出願前に行きたい大学に行って、在学生や職員から話を聞くこと)をしたい人も多いと思いますが、少なくとも治安を理由にフランスに来ることを避けるほどではないというのがこちらに住んでいる多くの留学生の感覚なのではないかと思っています。

もちろん、テロに限らず、自分の身は自分で守ることが鉄則ですから、リスクの多いところにあえて行かない、というのは一つの選択肢としてありうると思います。

 

でも、日本での報道だけを根拠に判断してしまうのは、せっかくの機会を逃してしまいとても残念なことではないでしょうか。

詳細が気になる方はぜひ現地の人に様子を聞いてみましょう!

ぷらんくとんの1日

 ぺんぎんさんに続いて、ぷらんくとんの一日を紹介します。

 

とある日のぷらんくとん

 7:30   起床

朝ご飯を食べて、掃除をして、洗濯をして、フランス語の授業の宿題をしました。


9:45  出発 

学校まで徒歩25分。

運動もかねて、ひたすらてくてく歩きます。(満員電車で通勤していた東京時代を思い出すと、100倍快適です。)晴れると澄んだ青空で、とても気持ちがいいです。

 

10:15  授業開始:The International Criminal Court and Human Right

国際刑事裁判所ローマ規定を人権の観点から読み解く授業です。戦争犯罪における個人責任の考え方に興味があってとっています。

 

教授はカナダ出身、ICCの設立から現在までの歩みをつぶさにみてきたこの道の専門家。色々な経験談や裏事情を聞くことができ、ユーモラスであけすけな物言いと相まって、とても面白い授業です。今日は上官命令の抗弁についてでした。

 

この授業、ICC@ハーグへの遠足が企画されています(これはヨーロッパならではですね!)

 

12:15  授業終了、ランチ

カフェテリアで買ったサンドイッチをほおばりながら、午後の授業の予習文献を読みます。

 

14:45  授業開始:French A2

フランス語は昨年の夏に始めたばかりなので、まだ初級レベルです。が、授業はすべてフランス語で行われます。

 

毎週月曜日は各自読んできた新聞記事について説明をすることになっているので、今週は、老舗百貨店ボンマルシェが日曜営業を始めた、という話をしてみました。(働き過ぎの日本から来た身としては複雑なニュースです。)

 

加えて今週は、クラスメートの発表(各10分)と過去分詞について勉強しました。

 

16:45  授業終了、図書館へ

図書館もこの時間になると席がみつけやすくなります。お気に入りのエリアで席を見つけました。

 

19:15  授業開始:The Concept of Race

カフェテリアの自販機で50セントのコーヒーを買って、お疲れモードの脳みそに喝を入れます。ちなみに、この自販機、砂糖入りだと50セント、砂糖なしだと60セントです。(どういうことなんでしょうか。。)

 

最後の授業は、Common Core Curriculum という学部横断で開講されている教養科目です。

 

人種なんてものはない!といいつつ、人種差別が問題になっているフランスの、この複雑な社会のあり方について考えてみたい、と思ってとったのですが、

 

いざ履修してみると、「人種」を切り口にしてはいるものの、西欧は「他者」をどう概念化してきたのか、という想像以上に深い講義内容で、良い意味で裏切られました。

 

個人的にテーマにしているトピックと直結する部分もあって、とても興味深いです。

 

が、、非常に哲学的な内容なのが苦しいところ。今日の課題文献はカントとヒュームでした。ああ、もう少しさらさらと読めるようになりたいなあ。

 

21:15  授業終了

頭がよれよれなので、図書館に行くことはあきらめて帰宅することにします。友達と学校の最寄り駅まで一緒に歩いて、そこからはまたもくもくと歩きます。家についたらライトアップされたエッフェル塔がキラキラ光っていました。(エッフェル塔は1時間に5分ほどキラキラ光ります)パリらしい、贅沢なご褒美です。

 

これでInternational Securityコースなの!?とツッコミが入りそうな一日ですが、個人のテーマや興味関心に沿って時間割をオーダーメイドできる柔軟さがPSIAの魅力だと思います。(私は国家対国家の安全保障ではなく、個人と国の関係や、個人の価値観やものの見方が国家に与える影響、という切り口で勉強をしています)


最後に、参考まで2nd Semesterの時間割を紹介します。今回は以下のテーマで授業選びをしています。

 ・組織/個人レベルの視点(1st Semesterは国家レベルの視点での授業が多かったため)

・国際情勢に即した授業内容(1st Semesterは理論的な授業が多かった)

・学習効率をあげるため週休3日

 

月曜日:

10:15-12:15 The International Criminal Court and Human Rights(隔週)

14:45-16:45 French A2

19:15-21:15 The Concept of Race

 

火曜日:

10:15-12:15 The International Criminal Court and Human Rights(上記に同じ)

12:30-16:45 Human Security (4時間!、Week6で終わり)

 

水曜日:

お休み!(でもLanguage Exchangeのために学校には行っています)

 

木曜日:

14:45-16:45 Cuases of War(不定期、授業がある週とない週があり)

17:00-19:00 Human Rights in International Politics

 

金曜日:

10:15-12:15 Causes of War (上記に同じ)

14:45-16:45 French A2

17:00-19:00 The EU, a Model for Other International Groupings?


(ぷらんくとん)

公共政策大学院のMPP(2年)とMPA(1年)の違い

こんにちは!

いぐあなです。(自己紹介はこちら

 

パリ政治学院の公共政策大学院(the School of Public Affairs)のことを調べていると結構最初に浮かぶ疑問が、

 

Master in Public Policy (MPP、2年コース)

Master in Public Affairs (MPA、1年コース) 

 

って何が違うんだ!ってことなんじゃないかと思います。

 

確かに分かりにくいですし、在学生の中でも大きな議論になる問題なので、ここで一度、それぞれのメリットとデメリットを整理しておきたいと思います。

 

共通すること

  • 入学前にPolicy Streamを一つ選び、修了までに関連する授業を取ること
  • 語学の授業が修了要件であることなどの時間割の構成
  • 学生団体や大学が提供するプロジェクトへの参加(任意の活動。交換留学生は不可のものもある)
  • その他、キャンパスや図書館などの設備、時間割などのインフラ

 

つまり、日々行っていることは、MPPでもMPAでも基本的に同じです。

 

MPP 2年コース

まずは通常の公共政策大学院についてです。

 

メリット
  • 2年間なのでじっくり勉強できる
  • 4セメスター目にインターン、交換留学、個人プロジェクト、ペーパー(※)のどれかができる(修了要件)
  • 比較的歴史が長く運営が安定
  • 1年生と2年生の間の夏休み3ヶ月を存分に使える

 

デメリット
  • クラスメートに社会人経験者がほとんどいなくて(感覚的には5%以下?)クラスメートから学ぶ内容は薄い
  • 学部やコースの人数が多く、各自時間割も違うため、人間関係が希薄

 

MPA 1年コース

Exectiveコースと言われていて、社会人4,5年を経験した人が主な対象となっています。

 

メリット
  • 2年目で別の修士を取れる
  • MPAの約20人は社会人経験4,5年以上なので意識や知識レベル、語学レベルが高い
  • MPAは人数が少なくコース(Policy Stream)に関わらず人間関係が濃い

 

デメリット
  • インターンやペーパーなどができない(夏休みや学期中に自主的に行うことは可能)
  • 1年間なので密度が濃く拘束時間が長い(各休暇にも授業がある)
  • 「公共政策学」で社会人経験者ばかりといっても行政経験者は少ない
  • 新設されたばかりで大学側も何をやらせていいのか模索中

 

こんな感じです。

  

隣の芝は青い

いかがでしたでしょうか?

 

学生同士で議論になるとはいえ、結局は「隣の芝は青い」系の議論なので、要はそれぞれが留学に何を求めるかという選択の問題だと思っています。

 

ちなみに、私は将来に博士号を取るためにペーパーを書きたいので、断然MPP(2年コース)です。

 

※わざわざカタカナで「ペーパー」と書いたのは、正式な修士論文ではなく「政策提言ペーパーのような位置付け」だからです。

 

(いぐあな)