滞在許可の更新手続き
こんにちは、ぺんぎんです。
今回は、滞在許可の更新の手続きをご紹介します。
ついこないだやったことなので、忘れないうちに。
(※ただ、フランスの行政手続きはよくルールが変わるので、申請をする際には、最新の情報を調べられることをお勧めします)
1年目の学生ビザ及び滞在許可の申請は、日本のフランス大使館とフランス入国後のOFII(Office Français de l'Immigration et de l'Intégration)という役所(フランス移民局)で手続きを行います。日本で発行してもらった長期滞在ビザが滞在許可証も兼ねており、フランス入国後OFIIで登録をすることで、1年間滞在することができます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《 ビザ or 滞在許可? 》(詳しくはこちら)
- ビザ(査証)…フランス入国のために必要な書類です。通常、日本旅券を持っている場合、90日以内の滞在であれば査証は必要ありませんが、それ以上の滞在を目的とした入国の場合、フランス大使館で査証を発行してもらう必要があります。
- 滞在許可…フランス入国後に、長期間滞在する場合に必要な書類です。学生用滞在許可証の場合、1年目はOFIIでの手続きを行うことで、入国ビザが同時に滞在許可としての役割を果たします。2年目からは滞在許可を更新する必要があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ですが、2年目以降の滞在許可の更新には、フランス大使館やOFIIを通してではなく、最寄りの県庁(パリに住んでいる場合はPréfecture de Policeという役所(パリ警視庁))を通してCarte de Séjour(滞在許可書)を発行するという手続きを行う必要があります。
Sciences Poの学生は、Sciences Poの滞在許可オフィス(The Residence Permit Office)で手続きをすることができます。このオフィスがあることによって、事前に書類のチェックを受けられるほか、いちいちアポと取ってpréfectureまで行き、長蛇の列に毎回並び…という手間が省ける優れものです。
では、順を追って見ていきましょう。
1. Sciences Poオフィスでの手続き
フランスでの行政手続きの全てに言えることですが、滞在許可の更新にもだいぶ時間がかかります。Sciences Poホームページによれば、1年目の滞在許可の有効期限より2,3カ月前に更新手続きを開始するようにと書かれていますので、例えば8月中旬に有効期限が来る人の場合は、5月中旬ごろに更新手続きを始めるのがおすすめです(学期末試験の真っただ中の時期ですが…)。
- 滞在許可の更新全般についての情報のページ
- SciencesPoオフィスでの滞在許可更新の手続き手順
必要書類は上記のページに書いてありますが、ここでも一度ざっと確認してみましょう(個人によって、少しずつ必要書類は変わるので、必ず上記PDFで確認してください)。
- 本人確認書類
- パスポートの顔写真のページのコピー
- パスポートのビザ(フランス大使館発行)のページのコピー
- パスポートの滞在許可証(OFII発行)のページのコピー
- 出生証明書とその法定仏訳(在仏日本大使館に戸籍謄本を持っていくと発行してもらえます。詳しくは在仏日本大使館ホームページから。6カ月以内に発行された戸籍謄本が必要なので注意しましょう。
- 3.5×4.5cmの証明写真3枚(少しでも微笑んだり口角が上がったりしていると受け付けてもらえないので、完全な真顔で撮りましょう!)
- 在学証明書類
- Sciences Poの在学証明書
- 過去1年間の成績証明書(学生ポータルからダウンロードできます)
- 住居証明書類
- 自分で部屋を借りている場合
- 公共料金の支払い明細など、氏名・住所が確認できるもの
- 間借りしている場合
- 賃貸契約書
- 大家の身元が確認できる書類(パスポートや滞在許可証など)
- 学生寮に住んでいる場合
- 居住証明書(署名と日付があり、封がしてあるもの)
- 経済状況証明書類
- 直近3カ月の口座証明(ユーロ表記のもの)
- その他、奨学金証書や就業契約書、給与明細など、安定した収入が確認できる書類
2. Récépisséを受け取る
大量の書類を携えて、ようやくSciences Poオフィスをクリアしたら(基本的に1回ではクリアできません。何回か書類の不備を指摘され、向こうのミスも何度かあり…)、次はRécépisséという仮書類をもらいます。これは、本物のCarte de Séjourが発行されるまでの間、「今Carte de Séejourの更新手続きをしています」という証明をする書類です。
例えば、1年目の滞在許可が8月中旬に失効してしまうけれど、夏休み中は日本に帰国して、9月の頭にフランスに帰ってくる場合などにこのrécépisséが必要になります。このrécépisséを持たずにフランスを出国してしまうと、9月にフランスに入国する際に空港で足止めを食らうらしく、場合によっては入国拒否される場合もあるようです。
Sciences Poオフィスでの手続き完了からこのrécépisséの発行までに、また6~8週間かかります。この発行の順番は全く不明で、Sciences Poオフィスでの手続きの順番とはあまり関係がないようです…(何でもありな国フランスです)。
ということで、もし夏休みに日本に帰国したり、違う国に語学留学に行ったりなど、フランスから出国しなければならない人は、出国前にこのrécépisséが受け取れるような段取りで、更新手続きを開始することをおすすめします。
3. Carte de Séjourを受け取る
Carte de Séjourの準備ができると、SMSでお知らせが来ることになっています。が、SMSを受け取らなかった人もたくさんいるようで、少なくともこのブログのメンバーは誰もSMSでの通知を受け取っていません。まったくテキトーです。
なので、9月ごろになってもSMSを受け取らなかったら、確認のメールを自分で送ってみましょう。たいていの場合、もうできあがっていて、受け取り可能です。その場合に確認メールを送るあて先はこちら(SMSが来なかったとき専用のメールアドレスだそうです。頻発してるんですね笑)。
pp-dpg-10eb-remise-convocation-sms(at)interieur.gouv.fr
晴れて受け取り可能と確認出来たら、シテ島にあるPréfectureに受け取りに行きます。パスポートとrécépisséを持っていきましょう。
これでようやくCarte de Séjourをゲットしました。
これは、ヨーロッパ圏内ではパスポートの役割を果たすので、様々なところで求められる身分証で、学生証では通用しない場合でもこれを見せれば大丈夫です。
ただ、やはりヨーロッパ国籍ではないので、国外に旅行する際は、通常通りパスポートを持っていくほうが安全かもしれません。
(ぺんぎん)
フランス語便利サイト
こんにちは。ぺんぎんです。
みなさんご存知の通り、Sciences Poの特徴は、授業の多くが英語で開講されていること。多くの学部で、英語のみで学位が取れるカリキュラムが用意されています。
とはいっても、やっぱり暮らすのはフランス。公用語はフランス語。フランス語に全く触れずに過ごすわけにはなかなかいきません。以前、外国語授業についてのポスト(こちら)でも書きましたが、フランス語が堪能じゃない正規学生はフランス語の授業が強く推奨されています。
ということで今回は、Sciences Poを目指すぞ!と思い始めた皆さんや、晴れて入学の決まった皆さんの役に立つフランス語勉強法を、執筆者5人が共同でお届けしたいと思います!
【全レベル】
TV5 MONDE apprendre le français
フランスのニュースチャンネルTV5のニュースから4レベルに分けてフランス語が学べるサイトです。
東京外国語大学言語モジュール
オンラインで無料で学べるサイト。フランス語以外にも様々な言語が学べます。
フラ勉 ー フランス語を勉強するサイト
文法の詳しい説明や、フランス語に関する記事がたくさんあります。
NHKゴガク
フランス語講座に出てくるフレーズなどの丸暗記も効果的!
【初級〜中級】
Sciences Po E-learning
パリ政治学院のフランス語講師陣が共同で編集していて、文法問題を中心に自学自習ができます。練習問題も豊富です。
1 jour 1 actu
平日に毎日更新される、フランスの小学生様向けニュース紹介サイト。1 jour 1 questionの動画も、色んなキーワードを面白おかしく学べるのでオススメ!
【中級〜上級】
france 3
フランス語字幕つきの様々なプログラムが用意されています。
RFI SAVOIRS
フランスのニュースチャンネルRFIが提供するフランス語学習者用のサイトで、ニュースを聞いて問題に答えたり、出てくる単語を学べたりします。
NHK World en français
日本のニュースをフランス語で読んでくれるので、フランスのニュースを聞くより内容がわかってオススメです。フランス語以外にも、全部で18言語用意されています。
以上、フランス語便利サイトをお届けしました!
もし、ここに載ってないけどおすすめサイトを知ってる人がいましたら、コメントでご教えてもらえれば、このリストに追加させてもらいますよ!
ではでは。
(ぺんぎん)
外国語授業のしくみ
こんにちは、ぺんぎんです。
実はわたくし、自他共に認める語学おたくです。
だから、というわけではないのですが、この「Sciences Poの語学の授業はどんな感じ?」というポストを担当させてもらうことになりました笑
自分自身、Sciences Poではフランス語と中国語の授業をとっています。
ではさっそく、見てみましょう!
幅広い選択肢
何といっても、Sciences Poの外国語の授業は種類が豊富。さすがinternationalを謳っている学校なだけありますね!修士学生だけでなく、学部生も同じ授業を取れるので、下のように、手話を含め20言語が用意されています。
- アラビア語
- イタリア語
- インドネシア語
- 英語
- 韓国語
- スペイン語
- スワヒリ語
- 中国語
- チェコ語
- ドイツ語
- トルコ語
- 日本語
- ハンガリー語
- ヒンディー語
- フランス語
- ヘブライ語
- ポーランド語
- ポルトガル語
- ロシア語
- 手話
各言語の詳細は、Sciences Poホームページの外国語授業のページ(こちら)から参照できます。真ん中のCharterをクリックして、各レベルの内容をチェックしてみてください。
フランスに限らず、ヨーロッパの大学で外国語の授業を選ぶときに重要になってくるのがCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)と呼ばれる基準です。各レベルの説明はこんな感じ。もっと詳しい説明は欧州議会ウェブサイトにて。
Sciences Poのすべての外国語の授業は、この基準に従ってクラス分けされています。
このようにたくさんの選択肢があるわけですが、基本的に週1コマ(2時間)のみの授業なので、授業だけで身につくとは思えません。Sciences Poの学生たちは授業と並行して、学校内でランゲージエクスチェンジをしたり、パリにある外国語学校INALCOに通ったりして、語学学習を進めています。
ちなみに、基本的に週1コマと書きましたが例外もいくつかあります。以下の授業では、A1~B1(初中級)レベルでは、1授業につき週2コマあります。
- 外国人学生用のフランス語授業
- (フランス人にとって)難しい言語:アラビア語、ロシア語、中国語、韓国語、日本語
厳しい履修制限
自分のような語学おたくは、こんなにたくさんの選択肢があると舞い上がってしまって、どれもこれも受講したくなってしまうのですが、Sciences Poは許してくれません。1人2言語までしか取れないように、履修制限がされています。
しかも、フランス語が流暢ではない外国人学生はフランス語の履修が強く推奨されているので、なかなか選択肢は多くありません。それでも、フランス語以外のもう1言語を受講している外国人学生が全くいないわけではなく、わたくしぺんぎんのように東アジア専攻で中国語選択の人や、中近東専攻でアラビア語選択の人、南米専攻でスペイン語選択などが多いようです。
全部フランス語!
ほんとは、第2外国語(フランス語以外)をとりたいと思っている人はもっといるのですが、ここで問題がひとつ。前述のとおり、この外国語の授業はフランス人学部学生も受講しています(というか、むしろこっちがメイン)。なので、なんとこれらの授業は全部フランス語で行われます。
想像してみてください。パリに来て初めてフランス語を始めた人が、同時進行でフランス語でアラビア語を学んだらどうなるか…。まさに悲劇ですね笑
これは余談ですが、私がとっている中国語の授業もフランス語で行われます。これがなんだかんだとても面白い。なぜって、先生が説明してるフランス語の単語は知らないけど、中国語の漢字を書いてくれればわかるってことがよくあるから。例えば、「これはmontgolfièreの意味だよー」と言われ「??」となっても、黒板に「熱氣球」と書いてくれれば一目でわかりますよね笑
これは、外国人学生が受講するフランス語の授業も同じです。A1レベル(初級レベル)で初めてフランス語を学ぶ学生に対しても、容赦なく100%フランス語で授業が行われます。つまり、フランス語でフランス語を学ぶ。「授業がわかるレベルだったら、A1の授業なんかとらへんわ!」という叫びを聞くのは日常茶飯事です笑
ということで、Sciences Poに入学が決まったけど、フランス語はまったくわからない…というそこのあなた。ぜひ入学前に、少しだけでも(日本語で)フランス語に触れておくことを強く強く強くお勧めします。
【超重要】パリに住んでいるからといって、自然とフランス語が話せるようにはなりません。
こうしてSciences Poで勉強している外国人学生は、専門のほかにフランス語にも苦しめられながら生活しているのです。非英語圏の留学も楽じゃないですね…笑
ブログ執筆者5人のおすすめフランス語勉強法などはまた次の機会に!
ではでは。
(ぺんぎん)
夏休みの過ごし方
すでに秋の訪れを感じるパリから、久しぶりの更新です。
私たちは今、ながーいながい夏休み(3か月!)の真っ最中なのですが、今日はSciences Poの学生がどのように夏休みを過ごしているか、について少し書いてみたいと思います。
私の周りの友人たちは大きく分けて、1)インターン、2)旅行、3)語学の勉強(自習or語学学校)、もしくはその組み合わせで夏休みを過ごしています。
傾向として、就業経験がない学生はインターンをし、既に就業経験がある学生は、旅行や自分自身のための勉強をして過ごしている人が多い気がします。
就業経験があるぷらんくとんも、これぞ人生最後の夏休みといわんばかりに、10年くらい読もうと思って読めていなかった本を読んだり、中欧に旅行したり(ヨーロッパの国々に気軽に旅行できるのはやはりパリならではでしょうか)、フランスの農家に滞在したりしていました(農家滞在は、フランスの現実を理解する上で、とても有意義で、興味深かったです)。
他メンバーでは、いぐあなさんは、フランス語と英語の語学学校に通うためにカナダのモントリオールへ2ヶ月間旅立ってしまいました。ケベック訛りのフランス語を身につけて帰って来るんじゃないかと心配です(笑)。
ちなみに、8月のパリには本当に誰もいません。よく街が「からっぽ」になるなんて言いますが、本当に文字通り「からっぽ」になる。パリに来るまでは、またまた~誇張してるでしょ、と思っていましたが、観光客以外は衝撃的なほどに誰もおらず、お店も8月いっぱい休み、なんていうのもざらです。(図書館も閉館してしまうのは盲点で、これに気が付いたときは、しまった、と思いましたが、最近は本でもなんでもネットで手に入って便利ですね。)
留学生達も、ほとんどが母国に帰国、旅行、もしくはフランス国外でインターンをしているので、本当に誰もいなくて、ここ数週間は皆の帰りを首を長くして待っているところです。
(ぷらんくとん)
ヨーロッパならでは、と感じること
こんにちは、ぷらんくとんです。
今日は、Sciences Poで、ああヨーロッパ(orフランス)ならではだなあ、と思うことをつらつらと綴ってみようと思います。今回の投稿は、主にぷらんくとんの個人的な感想に基づいています。必ずしもほかのメンバーも同じように感じているのは限りまぜんので、その点ご承知おきいただければ。
1)多様なバックグラウンド
とにかくたくさんの国から学生が集まっています。アメリカと比べても学生の国籍には多様性があるといってもいいかもしれません。歴史的つながりのある国々(マグレブなどのフランコフォン諸国)以外にも、ヨーロッパ中から学生が学びに来ています。
特にEU内は交換留学やダブルディグリーの制度が積極的・戦略的に推進されており、今学期はパリ、来学期はベルリンなの、もしくはロンドンなの、なんて学生が多く在籍しています。
また、国際情勢の話になると、関係する学生が最低1人はクラスにいるので、実体験に基づく話を聞くことができます。例えばクリミア半島の話をウクライナ人から、シリア情勢をシリア人から聞いたり、同じクラスにイスラエル人とパレスチナ人が席を並べていたりします。
2)歴史の連続性
教授が、ナポレオン時代のフランスを”We"と呼んでいた時には、おお、と思いました。当たり前といえば当たり前なのですが、21世紀の学問の多くが西欧の経験をベースにしていることを考えると、やはり「本場」で勉強をしている感があります。
難民や移民などの現代社会の問題も、過去の植民地主義と切っても切れない関係ですから、その当事者であるヨーロッパだからこその立場やジレンマを(この様々な問題が表面化している難しいタイミングで)ヨーロッパの側から学ぶことができるのは得難い経験だと感じます。
また、歴史の蓄積という観念でいえば、もちろん専攻によりますが、私が受けた授業では、歴史的な背景が非常に重視されていると感じました。例えば、課題文献に古典的な文献が多く出されたり(クラウセヴィッツの「戦争論」や、カント、ヒューム等の原文)、哲学的な要素が強い授業も多く、アメリカからの交換留学生の経験を聞くところによると、これも欧州ならではなのかな、と思っています。
3)ヨーロッパならではの視点
昨年のトランプ当選を受け、Sciences Poでも多くの関連イベントが開催されていました。わたしはヨーロッパ各国の外相経験者(且つ、現Sciences Po教授陣)5名のディスカッションを聴きにいったのですが、中東情勢に関して、
「もしアメリカが手を引くならば、歴史的にも利害関係のあるヨーロッパが、今こそアイデンティティを一つにして、プレゼンスを示していくべきだ」と、イタリア元外相が熱弁をふるい、拍手喝采を浴びていたことが、非常に印象に残っています。
日本のメディアを通して中東情勢をみると、そのあまりの泥沼化に更なる介入には疑問符がつきますが、やはりヨーロッパからみると、経済的な要因以外にも、地理的(対ロシアや難民問題)や歴史的(ヨーロッパのプレゼンスやプライド)という意味で「譲れない」。
陸続きであり当事者であるヨーロッパならではの視点を、直接肌で感じることができるのは、現在の国際情勢を理解する上で、とても重要なことだと感じています。
と、なんだか固めな話になってしまいましたが、その他には、ああ、やっぱりフランスって階級社会なんだな、とか、豊かな歴史があるからこそ、変わることが難しいんだな、とか日々の生活からしみじみ感じることも多いです。
あとは、日本にいるときには「欧米」と一くくりに考えていたけれど、「欧州」と「米国」どころか、「欧州」の中でもこんなにも違うのか!と、各国の学生と話していると気付くことができるのも、ヨーロッパならではでしょうか。
留学を考えるとき、まずはアメリカが頭に浮かぶ方も多いと思いますが、ヨーロッパではまた違った視点で学ぶことができるので、ぜひ検討候補に加えてもらえたらいいなあ、と思います。
(ぷらんくとん)
学部紹介―PSIA編
こんにちは。
期末試験を言い訳にブログを放ったらかしにしていたぺんぎんです。
いぐあなさんが公共政策系の学部の説明を書いてくれたのに続いて、今回はぺんぎん・ぷらんくとん・きりんが所属している、国際関係系学部のParis School of International Affairs(以下PSIA)をご紹介したいと思います。
学部の構成
PSIAは、2年間の修士課程8学科、1年間の修士課程1学科、その他デュアルディグリープログラムなどで構成されています。
それぞれの学科の説明はPSIAホームページ(こちら)で確認してもらえればと思いますが、違う学科に所属していても授業がかぶっていることがよくあります。
学科ごとに全く違う授業が用意されているというよりも、授業の選択肢は同じだけど、取らなきゃいけない授業の比率が違うといったほうが適切かと思います。
例えば、Master in International SecurityとMaster in Human Rights and Humanitarian Actionで比べてみると、前者のほうがより安全保障・戦略論などの授業を多くとらなけらばならず、後者では国際人権法や人道法などの授業が多く要卒単位として設定されています。
逆に、International Securityの学生も、国際人権法や人道法の授業を受講できますし、その場合はHuman Rightsの学生と同じ授業を受けることになります。
授業の構成
じゃあ、どの学科を選ぶかどうやって決めればいいの?
という話になるのですが、ここで各学科で何が要卒単位として設定されているかを見てみましょう。
ここでは、ぺんぎん・ぷらんくとん・きりん全員が所属するInternational Securityを例にご紹介します。
PSIAのホームページから自分の興味がある学科のページに飛んでみましょう。
そして、その学科のカリキュラムを見てみます。
ここでは、2017-2018年度のカリキュラムが表示されています。
International Securityでは、
- Formation Commune(全学共通科目):週1授業(春秋1つずつ)
- Skills(数的処理科目):週1授業(春または秋学期に1つだけ)
- Core Curriculum(学科共通科目):週3授業(各カテゴリーから1つずつ)
- Concentration(重点専門科目):週2授業
- Languages(外国語):週1授業
の5つが必修になっています。
では、1つずつ見ていきましょう。
Formation Commune
これは、Sciences Poの修士学生全員対象の授業です。
ほとんどの授業は大講義形式で、政治学や人類学、哲学などの一般教養の授業です。秋学期と春学期で1種類ずつ受講します。
Skills
STATAというソフトを使った統計学の授業や、簡単な微分積分などを使った数的処理の授業です。これは秋学期または春学期に1つ受講します。
Core Curriculum
学科によって違ってくるのはこの部分です。
各カテゴリーから1科目ずつ受講します。この表のカテゴリーは、各学科の秋学期のもので、春学期には別のカテゴリーになります。
Concentration
コンセントレーションとは、上記の学科別Core Curriculumとは別に、個人ごとに専攻テーマと専攻地域を指定する制度です。
これのおかげで、同じInternational Securityの学生でも、様々なコンセントレーションの組み合わせが可能になります。このコンセントレーションは、入学時に指定します。基本的には、テーマ別・地域別から1つずつ計2種類のコンセントレーションを選びますが、テーマ別コンセントレーションを2種類選ぶことも可能です(この場合、地域別コンセントレーションは選べません)。
Languages
Sciences Poの学生は必ず外国語の授業を1つ受講しなければいけません。
また、フランス語が堪能でない学生は、フランス語の授業が必修とされています。外国語の授業についてはまた別のポストで詳しく書こうと思いますが、1学期間に初心者は週2コマ、中上級者は週1コマを受講します。
フランス語初級の授業でも、なぜか完全フランス語で授業が行われるので、Sciences Poに晴れて入学することになった人は、日本でほんの少しでもフランス語に触れておいたほうがいいかもしれません笑
授業に関する雑多な感想
海外の大学院というと、イメージとして、「少ない授業で深くみっちりと」という感じがあるかもしれませんが、ご覧の通りSciences Poの授業は1週間のコマ数が多く(平均8~9コマ)、指定の授業以外は受講できないシステムになっているので、自分の学びたい内容を必ずしも深く学べるとは限りません。
印象としては「広く浅くジェネラリスト志向」といった感じです。
なので、もし自分が学びたい分野がはっきりしていたり、興味を持った分野があったりしたら、自習で補う必要があります。
コマ数が多いことは教授もわかっていて、各授業の負荷もアメリカなどに比べればそこまで重くないので(もちろん日本の学部に比べれば、ずいぶん重いです笑)、逆に言えば、学校の授業でいっぱいいっぱいになるという訳ではなく、授業を取りつつ、自分の興味のある文献を読む時間もあるというポジティブな見方もできるかもしれません笑
(ぺんぎん)
都市型キャンパスの良さ
こんにちは。ふたたび、ぷらんくとんです。
前回「Sciences Poのパリキャンパス、設備が貧弱!」とご紹介しましたが、個人的には、それをふまえてもなお、Sciences Po、そしてパリを選んでよかったな、と思っています。そこで、今日は、都市型キャンパスだからこそのSciences Po良さを、3つのポイントにわけてご紹介したいと思います!
①理想論にとどまらない学びを得ることができる
学びの環境という観点で、大学・大学院のキャンパスは郊外型と都市型にわけられると思います。
前者は、広大な敷地の中にすべての設備が揃っていて、場合によってはキャンパス内で暮らしていけるような環境。この利点は、「勉強に専念できる」こと。逆に「外の社会との接点が希薄」ともいえます。
後者は、都市の中にキャンパスがあるパターン。土地に限りがあるので、十分なスペースがなかったり、寮がないため学生は家探しに四苦八苦、満員電車で通学なんてことも。ただ、利点は、郊外型キャンパスの逆で、「外の社会との接点が多い」ということです。
教室で学ぶことはどうしてもアカデミックだったり、理想論にかたよる傾向があります。
例えば、典型的な都市型キャンパスであるSciences Poの場合。キャンパスを一歩でると、パリの街には、理想とは全く違う現実社会が広がっています。物乞いの人、シリアからの難民、地区ごとに全く違う住環境。
わたしの通学路には、数百メートルに1人ずつ物乞いの人or家族がいますが、彼ら、彼女らの脇をすり抜けながら通学をしていると、否が応でも学びと現実の違いを実感し、じゃあその上でどうしたらいいのか、とより深く考えざるを得ません。現実の社会が、理想論に走りがちな机上の学びに対するストッパーになっている、と強く感じます。
②都市にはすべてが集まる
都市には人やモノ、情報が流れ込んできます。
先日のフランス大統領選は、政治の中心としてのパリを最も感じた機会でした。
マクロンの演説を聞きにいってそのコンサートかのような盛り上がりっぷりに度肝を抜かしたり、支持者たちが集まるカフェでディベートをきいて、フランス国民の生の反応を感じたり。逆に街角でマクロンのポスターに落書きがされ、ルペンやメランションのポスターが代わりに貼られているのを目撃したり。
もちろん政治に限らず、レストランや音楽や、いま一番勢いのあるものがすぐそこで体験できる、という環境はとても貴重です。
また、パリには世界中から食や芸術や哲学を学ぶ人たちも集まってきています。そういった「多種多様」な「挑戦する人」と出会える、ということも都市であるパリの魅力です。
③楽しいことがたくさん!!
勉強にも息抜きは必要なもの。そこは、パリ、なんでも揃っています。
普通に同級生と飲みに行く以外にも、例えばエッフェル塔を横目にセーヌ川沿いでピクニックをしたり、美術館巡りをしたり(なんとルーブル美術館などは26歳以下の学生は無料です)。わたしは、近所にある小さな映画館に古い映画を観に行っていました。
それもこれもパリ、そして都市だからこそ。都市は社会の縮図であり、大きな学びの場です。学校以外の街全体をキャンパスととらえると、貧弱な設備も許せるものです。
学校選びの際には、学問そのものにどっぷりつかりたいのか、生活全体での学びも重視するのか、という観点も検討してみることをおすすめします。
↓サンジェルマン大通り沿いのキャンパス
(ぷらんくとん)