パリ大学院生活 at SciencesPo

フランス・パリ政治学院(通称SciencesPo)に在籍する大学院生のブログです!

学部紹介―PSIA編

こんにちは。

期末試験を言い訳にブログを放ったらかしにしていたぺんぎんです。

 

いぐあなさんが公共政策系の学部の説明を書いてくれたのに続いて、今回はぺんぎん・ぷらんくとん・きりんが所属している、国際関係系学部のParis School of International Affairs(以下PSIA)をご紹介したいと思います。

 

学部の構成

PSIAは、2年間の修士課程8学科、1年間の修士課程1学科、その他デュアルディグリープログラムなどで構成されています。

それぞれの学科の説明はPSIAホームページ(こちら)で確認してもらえればと思いますが、違う学科に所属していても授業がかぶっていることがよくあります。

学科ごとに全く違う授業が用意されているというよりも、授業の選択肢は同じだけど、取らなきゃいけない授業の比率が違うといったほうが適切かと思います。

 

例えば、Master in International SecurityとMaster in Human Rights and Humanitarian Actionで比べてみると、前者のほうがより安全保障・戦略論などの授業を多くとらなけらばならず、後者では国際人権法や人道法などの授業が多く要卒単位として設定されています。

 

逆に、International Securityの学生も、国際人権法や人道法の授業を受講できますし、その場合はHuman Rightsの学生と同じ授業を受けることになります。

 

授業の構成

じゃあ、どの学科を選ぶかどうやって決めればいいの?

という話になるのですが、ここで各学科で何が要卒単位として設定されているかを見てみましょう。

ここでは、ぺんぎん・ぷらんくとん・きりん全員が所属するInternational Securityを例にご紹介します。

 

PSIAのホームページから自分の興味がある学科のページに飛んでみましょう。

 

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そして、その学科のカリキュラムを見てみます。

 

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ここでは、2017-2018年度のカリキュラムが表示されています。

International Securityでは、

  1. Formation Commune(全学共通科目):週1授業(春秋1つずつ)
  2. Skills(数的処理科目):週1授業(春または秋学期に1つだけ)
  3. Core Curriculum(学科共通科目):週3授業(各カテゴリーから1つずつ)
  4. Concentration(重点専門科目):週2授業
  5. Languages(外国語):週1授業

の5つが必修になっています。

 

では、1つずつ見ていきましょう。

Formation Commune

これは、Sciences Poの修士学生全員対象の授業です。

ほとんどの授業は大講義形式で、政治学や人類学、哲学などの一般教養の授業です。秋学期と春学期で1種類ずつ受講します。

 

Skills

STATAというソフトを使った統計学の授業や、簡単な微分積分などを使った数的処理の授業です。これは秋学期または春学期に1つ受講します。

 

Core Curriculum

学科によって違ってくるのはこの部分です。

各カテゴリーから1科目ずつ受講します。この表のカテゴリーは、各学科の秋学期のもので、春学期には別のカテゴリーになります。

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Concentration

コンセントレーションとは、上記の学科別Core Curriculumとは別に、個人ごとに専攻テーマと専攻地域を指定する制度です。

これのおかげで、同じInternational Securityの学生でも、様々なコンセントレーションの組み合わせが可能になります。このコンセントレーションは、入学時に指定します。基本的には、テーマ別・地域別から1つずつ計2種類のコンセントレーションを選びますが、テーマ別コンセントレーションを2種類選ぶことも可能です(この場合、地域別コンセントレーションは選べません)。

  • Thematic Concentration(テーマ別)の紹介はこちら
  • Regional Concentration(地域別)の紹介はこちら

 

Languages

Sciences Poの学生は必ず外国語の授業を1つ受講しなければいけません。

また、フランス語が堪能でない学生は、フランス語の授業が必修とされています。外国語の授業についてはまた別のポストで詳しく書こうと思いますが、1学期間に初心者は週2コマ、中上級者は週1コマを受講します。

フランス語初級の授業でも、なぜか完全フランス語で授業が行われるので、Sciences Poに晴れて入学することになった人は、日本でほんの少しでもフランス語に触れておいたほうがいいかもしれません笑

 

授業に関する雑多な感想

海外の大学院というと、イメージとして、「少ない授業で深くみっちりと」という感じがあるかもしれませんが、ご覧の通りSciences Poの授業は1週間のコマ数が多く(平均8~9コマ)、指定の授業以外は受講できないシステムになっているので、自分の学びたい内容を必ずしも深く学べるとは限りません。

印象としては「広く浅くジェネラリスト志向」といった感じです。

なので、もし自分が学びたい分野がはっきりしていたり、興味を持った分野があったりしたら、自習で補う必要があります。

 

 コマ数が多いことは教授もわかっていて、各授業の負荷もアメリカなどに比べればそこまで重くないので(もちろん日本の学部に比べれば、ずいぶん重いです笑)、逆に言えば、学校の授業でいっぱいいっぱいになるという訳ではなく、授業を取りつつ、自分の興味のある文献を読む時間もあるというポジティブな見方もできるかもしれません笑

 

 

(ぺんぎん)