パリ大学院生活 at SciencesPo

フランス・パリ政治学院(通称SciencesPo)に在籍する大学院生のブログです!

Sciences Poの修士論文①(手順、先生の探し方)

こんにちは!いぐあなです。

二年間のコースだと二年目にインターンをする学生が多いのがパリ政治学院ですが、私は学内でも珍しく、インターンの代わりに修士論文を書いています。インターンに比べ、大学から提供される情報が少ないので、パリ政治学院での修論について二回に分けて書いて行こうと思います!

一回目の今回は、修論開始までの手順についてです。

 

他学部の情報も知っている限りは盛り込んでいますが、私の所属する公共政策の情報が基本になっているのでご注意くださいね。

正式な情報は、例えば下記のリンクをご覧ください。

公共政策

http://www.sciencespo.fr/public/en/content/mae-master-s-thesis

PSIA

http://www.sciencespo.fr/psia/content/masters-thesis

 

修論を選んだ理由

そもそも私が修論を選んだ理由は、まとめると下記のようになります。

・四年間の職務経験があるため改めてインターンで経験を積む必要は特にないと考えた

・将来博士課程に進むことを視野に入れ、社会科学分野での修士論文を書いておきたかった

・日本に帰るとじっくり時間を取れない文献に多く触れたかった

修論の概要

まずテーマについては、特に縛りはありません。ただし、執筆する上では下記のような要件がいくつかあるため、実質的にはある程度絞られてきます。

・本人の経験や問題意識を書くこと

・授業で習ってきたことを盛り込むこと

・学術的な背景について文献を引用し説明できること

・パリ政治学院のフルタイムの先生をアドバイザーにつけること

 

ページ数は50ページ以内とかなり少ないです。しかもイントロダクションや補注を含めた上に行間1.5行と幅が広く、その他文章を圧縮できないように様式に細かい指定があります。アカデミックな大学ではないパリ政治学院らしさがここにも現れています。

それもあってか、ちゃぶ台を返すようですが、Mémoire(英語だと Research thesis)という言葉を使っておきながら正式な「修士論文」ではありません。「将来の博士課程への入学を保証するものではない」とのことですので、その点もご注意ください。(私の論文も他大学でどう扱われることやら・・・)

正式な修論を書きたい人はドクトラルコースか他の大学へ進むべきだと思います。

始まるまでの手順

※【】は自主的に行うべきこと。その他は大学が求めるプロセス

PSIAの場合:Methodologyに関する授業(二学期まで)

PSIA(国際関係の学部)の友人から聞いた話ですが、PSIAでは統計学などの授業を履修したことが論文選択の必須条件です。公共政策では統計学が必修のせいか、このような要件はありません。

【テーマ決め、文献探し】:夏休み

個人的な経験では、執筆開始の半年以上前の5月ごろからテーマの当たりをつけ、関連の文献を読み始めないと間に合わないという印象です。私は、二学期目が終わるとすぐに、大学のデータベースから関係ありそうな論文を片っ端からダウンロードし、語学留学先のカナダに持って行って隙間時間に読みながら、テーマを絞っていきました。

簡単なアンケートによる非公式な申請:10月初旬

大学から四学期目に何をするのか調査するためのアンケートフォームが届きます。(ただし、この時点で交換留学の申し込みはの締め切りはすでに過ぎています。)

先生探し→先生との面談:10月〜11月

アンケートで修論を選ぶと、テーマに合わせた先生を選ぶよう大学から指示されます。その方法は、大学の各研究所の教授陣のリストから先生を探し、自分でアポを取り了解を得るというもの。研究所ごとにフォーマットも情報量も全く違うので、何とも原始的で骨の折れる作業です・・・

http://www.sciencespo.fr/recherche/fr/content/les-unites-de-recherche

 

しかも、いざアポを取って会ってみると、「修論のアドバイザーって、私(教授)にとって義務なの?聞いたことない」と言われる始末。自分の大学の先生に対して修論の仕組みを説明するのは、我ながら滑稽でした(笑)

この先生探しと先生からの追加文献の処理に時間がかかるからこそ、テーマ決めと文献探しを夏休みのうちに進めておくべきだと思います。

大学からの説明会(11月中旬)

修論を選ぶに当たって知っておくべきことについての説明会が開催されます。とは言っても、修論の概要(プロポーザル)の提出の一週間前に開かれるので、説明会の開催を待たず事を進めるべきです。

私の場合は、説明会までにプロポーザルが書き上がっていたので、説明会の内容を踏まえて内容を調整し、すぐに提出できました。

プロポーザルの提出(11月下旬)

論文の概要や執筆スケジュールをA4で二枚以下にまとめたプロポーザルを大学に提出します。その後、大学側が審査をし12月中旬に合否が出ることになっており、合格が出たら無事に論文執筆開始です。ちなみに、私には合否の連絡が来ませんでしたが、別の連絡をした際の感触だと修論を選択した人間として無事に登録されていたようです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

他国への交換留学生に対しては手厚い情報提供があったのに比べると、修論執筆に関してはインターンと同じく、大学のサポートは皆無に等しいので自力で先手を打って準備していくことが必要です。

 

次回は、実際に論文を始めてから提出までの流れを書きたいと思います!