ぺんぎんのぐらんどおーらる
こんにちは、ぺんぎんです。
ほのぼのとしたタイトルですが、内容は全くほのぼのではありません。
今回のポストでは、私が5月末に受けたGrand Oralについて書きたいと思います。
Sciences Poの修士学生は、2年間の修士課程最後の儀式として、Grand Oralと呼ばれる口頭試問を受けなければなりません。ただし、これは学外セメスター(学部によって3学期または4学期)でインターンシップまたは海外留学をした人が対象で、修士論文執筆を選択した学生は、代わりにThesis Defenseを行います(いぐあなさんの記事参照→こちら)
Grand Oralとは。
Grand Oralとは、自らテーマを設定し、2年間で学んだこと、そしてインターンシップまたは海外留学で得た経験を交えて、2人の審査官の前で口頭発表するものです。時間配分としては、学生発表が10分、質疑応答約20分、そして将来のプランについての質問が5分ということでした。現在の形式はこのようになってますが、以前は、試験当日にその場でトピックを選び、1時間後には発表という恐ろしい形式だったそうです。
たまに、著名な政治家や知識人などがGrand Oralと称して、プレゼンを行うことがありますが、Sciences Poの学生が行うのは、もっともっと小規模なものです。
テーマ選択
4月初めに、学校側からテーマのリストが開示されます。今年のPSIAの場合は、30種類ほどのテーマがありました。以下はその一部例です。
- Challenges of fundamental human rights
- China’s role in African economic development
- Conflict and reconciliation in Latin America
- Drones and war
- Environmental degradation, a factor of poverty
- France’s soft power
- Human right to peace
- Military power in Europe in the 21st century
- Nationalism and security in South Asia
- Reforming the UN
- Russia’s foreign policy in the 21st century
- Small states in International Organizations
- Social entrepreneurship and innovation for development
- The effectiveness of UN peacekeeping operations
- The impact of Brexit on the UK’s foreign policy
- The rise of regional hegemons
- The security of Africa by African states
- UNHCR’s response to the migration crisis
- WHO facing major epidemics
などなど…。詳しくはこちら(リンクは無効になる可能性があります)。
Executive Summary執筆
提示されたテーマから、自分が話しやすそうなものを1つ選び、800字のExecutive Summaryと呼ばれる文章を書きます。この文章には、Grand Oral当日に話す内容の概観、Problématique(問題提起)、どのような参考文献を基にしたか、などを記入します。ちなみに自分は、Reforming the UN(国連改革)についてをトピックとして選びました。
ですが、5月末に行うGrand Oralの内容が4月初めに決まってるわけあるかい!というのが正直なところ。しかも、この提出が求められる時期は、ばりばり授業期間真っただ中なわけで、他にも課題がたくさんあるのでそこまで時間をかけられないのが実情です。
このExecutive Summaryの使用方法にも様々な説が学生間に飛び交っており、提出はさせるけどGrand Oralの結果には関係ない、とか、このSummaryを基に当日の質問が決まる等々、実際のところは誰にもわかりません。
一番賢い手法としては、800字の中に、自分の話したいテーマの導入部分と問題提起を書くに留め、具体的な結論は当日のお楽しみ…という風にすると、Executive Summary提出後から5月末の当日までに考える時間があって良いのかなと個人的には思います。
そして練習
Executive Summaryを提出し終えると、また日々の授業に追われて、Grand Oralのことなんかすっかり忘れます。Grand Oralの日程は4月末に通知されます。スケジュール帳にマークして、またすっかり忘れます。そして、また再び思い出すのが、全ての授業と試験が終わった5月の第2週目ごろ。既に本番1週間強前。大慌てで、自分が書いたExecutive Summaryを引っ張り出し、何を書いたか思い出すわけです。
自分の場合は、当日に話す内容を全て書き出し、それを丸暗記しました。丸暗記といっても、一語一句同じ必要はないので、ぼやっとした内容を覚えただけです。でも、発表時間は10分以内と決まっているので(10分を超えた場合に、止められるか、それともそのまま話し続けさせられるかは、審査官によります)、時間を計って練習しました。友達の中には、お互いに発表しあって練習した人も結構いたようです。
そして当日
はい、当日になりました。自分の場合は、午後14時からだったので、朝早く学校のカフェテリアに行って(この頃には、授業が終わっているのでカフェテリアはとても空いています)、ただひたすら一人でごにょごにょ練習。周りには自分と同じように、メモを持ってごにょごにょする人が何人か見られました。
試験会場は通常の教室です。受付場所に行って、教室の前で待機します。
自分の審査官は2人ともフランス人の教授でした。一人は国際法専門、もう一人は軍縮の専門家。国際法専門の教授の前で「国連はここがダメなんだよ」という話をするのは大変緊張しましたが、思ったよりも和やかな雰囲気でした。
自分が10分間話し終えた後、審査官からは6つの質問を受けました。
- 君は、国連が上手く機能していないと言ったけど、国連がないほうがいいと思う?
- もし拒否権がなかったとしたら、今のイスラエル・パレスチナ問題は解決すると思う?
など。しどろもどろだったので、他の質問は忘れました笑
多くの場合、審査官はランダムに割り当てられており、自分の発表テーマと全く関係ない専門の審査官がつくこともあるので、質問を予想するのは至難の業です。自分の発表が滑らかにできるように練習するのが最善策かなと思いました。
感想
内容についての個人的な感想としては、Sciences Poでの2年間の勉強とインターンの経験から感じた「国連ってInternational Organizationsっていうけど、実際めっちゃ排他的じゃね?国連で保護されない人たちはどうするの?その人たちのことも考えなきゃダメだよね?」という感想を10分間で表現できたので、集大成としてはよくできたかなと思いました。
自分もGrand Oralの前はだいぶ緊張&心配していましたが、審査官たちも学生を攻撃して打ちのめそうという気はない(はず)なので、ある程度真面目に準備をすれば大丈夫です。
ということで、Sciences Po最後の難関であるGrand Oralについてご紹介しました!
(ぺんぎん)